「では始める前に、軽くアイスブレイクを」。そう言った瞬間、画面の向こうが静かになります。カメラはほとんどオフ、ミュートの名前が並び、誰かが口を開くのを全員が待っている。リモート会議やオンライン研修、オンライン授業で進行をしたことがある人なら、この 10 秒の重さを知っているはずです。
対面のアイスブレイクをそのまま持ち込むとうまくいきません。隣の人と話せない。順番に話すと 1 人 30 秒でも 20 人で 10 分。カメラオフの人には身振りが届かない。そして一番つらいのは、発言が苦手な人が「次はあなた」と指名されるのを待つ時間です。
短い定例には1〜5分のチャット形式、研修や交流会には10〜30分のゲームを選べるよう、12案をまとめました。カメラを使わず参加できるものを中心に、発言が必要な役割と準備も明記しています。時間は参加方法の説明と移動を含めて見積もりましょう。
オンラインのアイスブレイクの選び方
アイスブレイクの目的は盛り上げることではありません。この場では声を出しても大丈夫だ、と全員に分かってもらうことです。だから最初の 1 本は、全員にかかる負荷が同じで、正解がなく、短いものにします。笑いは後からついてきます。選ぶときは一覧表の「発言が苦手な人も」の列を先に見てください。いちばん静かな人が参加できる形式なら、全員が参加できます。
12 選の一覧表 (人数・所要・カメラオフ・発言が苦手な人も・準備)
| # | アイスブレイク | 人数 | 所要 | カメラオフでも | 発言が苦手な人も | 準備 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 一言チェックイン | 3〜30 | 1〜3 分 | ○ | ○ (チャット可) | なし |
| 2 | 今日の天気を一言で | 3〜30 | 2 分 | ○ | ○ (チャット可) | なし |
| 3 | 共通点探し | 3〜8 (×部屋) | 5 分 | ○ | ○ | なし |
| 4 | 2 つの真実と 1 つの嘘 | 3〜6 | 2 分/人 | ○ | △ (話す必要あり) | 考える時間 1 分 |
| 5 | 持ち物しりとり | 3〜10 | 3 分 | △ (チャットで代用可) | ○ | なし |
| 6 | 「もし〜なら」質問 | 3〜30 | 2 分 | ○ | ○ (チャット可) | お題 1 つ |
| 7 | チャット一斉送信 | 3〜100 | 1 分/問 | ○ | ◎ | なし |
| 8 | 以心伝心「みんなでシンクロ」 | 3〜8 (×部屋) | 5 分 | ◎ | ◎ | URL を貼る (1 分) |
| 9 | Gartic Phone | 4〜10 | 10 分 | ○ | ○ | URL を貼る |
| 10 | Kahoot! | 契約の上限を確認 | 5〜10 分 | ○ | ◎ (答えるだけ) | 事前に問題作成 (15 分) |
| 11 | Codenames Online | 4〜8 | 15〜30分+説明 | ○ | ○ (聞き役でも可) | URL を貼る |
| 12 | ブレイクアウトで 3〜8 人ずつ | 9〜100 | 7〜10 分 | ○ | ○ | 部屋の設定 (1 分) |
一覧の人数は遊びやすい目安で、サービスの上限ではありません。時間は説明・設定・感想で前後します。有料機能や利用できる言語は、参加前に公式サイトで確認してください。
短い時間でできる、声やチャットの遊び(1〜7)
1. 一言チェックイン:「今の状態を、数字と一言で」
「今日の調子を 1〜10 の数字と一言で」。全員がチャットに書くか、順に一言ずつ。一言でいいと最初に宣言するのがコツです。「7、ちょっと眠い」で終わっていいと分かると、話すのが苦手な人も参加できます。毎回同じ形式にすると「会議が始まる合図」になります。定例会議の最初の 1 分に。
2. 今日の天気を一言で:「今の気分を天気で言うと?」
「晴れ」「くもり時々眠い」「午後から雨の予報」。数字より答えやすく、比喩なので本音を少しだけ混ぜられます。ルールは 1 つ、「雨」と答えた人を深掘りしないこと。理由は聞かず、「雨の人は今日は軽めでいきましょう」と進行側が受け止めるだけでいい。
3. 共通点探し:「3〜4 人で、全員に当てはまる共通点を 3 つ」
小グループで、全員に当てはまる共通点を 3 分で 3 つ見つける。「人間」「このチーム」のような当たり前は禁止。「朝はパン派」「犬を飼ったことがある」が出てくると、初対面の距離が一気に縮まります。見つかった数を全体チャットに報告。9 人以上なら #12 のブレイクアウトで。
4. 2 つの真実と 1 つの嘘:「3 つ話して、1 つだけ嘘」
自分について 3 つ言い、1 つだけ嘘を混ぜ、ほかの人がチャットで嘘を当てる。1 人 2 分かかるので、全員やるなら 6 人まで。それ以上は「今日の 2 人」と決めて毎回ローテーションすると、毎週 4 分で済み、1 か月で全員が終わります。始める前に嘘を考える時間を 1 分とると、発言が苦手な人も準備ができます。
5. 持ち物しりとり:「手の届くところにあるものだけでしりとり」
画面に映せる、またはチャットに書けるものだけでしりとり。「マグカップ」→「プリンター」→「たまご (冷蔵庫から)」。在宅の机や出社先の引き出しが映り、自然に「その人の場所」が伝わります。カメラオフの人は名前をチャットに書くだけで参加できます。
6. 「もし〜なら」質問:「仮定の話を 1 問だけ」
「机に便利なボタンを一つ増やせるなら?」など、仮定の質問を一つ出して20秒ほど考えてもらいます。短い例を先に示すと、返答の長さも分かりやすくなります。仮定でもお金や家族などは話しづらい場合があるため、パスを選べると伝え、理由は追問しません。
7. チャット一斉送信:「書いても、送信は『せーの』まで待つ」
進行役がお題を出し、全員がチャットに答えを打ち込んで、送信は「せーの」で同時に。一斉に流れてくる数十行を眺めて、進行役がいくつか読み上げる。発言が苦手な人にいちばん向いた形式です。声を出さなくていい、順番が回ってこない、先に出た答えに引っ張られない。「今朝食べたもの」「今いちばん欲しい休み」「この会議のあとやること」など、お題は何でも成立します。100 人でも 1 分です。
B. ブラウザで、インストールなし (8〜11)
8. 以心伝心 (Web 版)「みんなでシンクロ」——「同じお題を同時に描いて、いちばん似ていたペアは誰?」

同じお題を見ながら、回答は見せずに描く・選ぶ。URLで招待した各自の端末から答え、公開された結果を一緒に比べます。
- 料金
- 無料・広告なし・登録不要
- 端末
- ブラウザ (iPhone / Android / PC)。1 台で交代、または URL の部屋で 2〜8 人
- 向いている場面
- チーム・クラスの最初の 5 分。新メンバーの歓迎。研修やオンライン授業の冒頭。
- 注意
- 部屋は最後の利用から6時間、または作成から24時間で削除されます。
2人の部屋は双方の回答がそろったラウンドから公開します。3〜8人では提出がそろうか締め切りになると結果を公開し、未提出は空の回答として扱います。通信が切れた人を待たずに進む場合もあるため、全員が無期限に待つ仕組みではありません。
部屋をつくった人が URL を会議のチャットに貼る。全員がそれぞれのスマホか PC で開き、名前を入れるだけ。同じ部屋に 3 人以上いると自動で「みんなでシンクロ」になります (3〜8 人)。全員が同じお題 (「ねこ」「理想の家」) を 30 秒で描き、ラウンドの回答が締め切られると全ペアのシンクロ率が出る。「この回のベストペア」「あなたのベストマッチ」「みんなの絵」が表示され、手書き 3 問を終えると「いちばん以心伝心なペア」「前世ライバル候補」「相性マップ」と、ベストペアの診断文 (収録済みの 71 種類から選ばれる) が出ます。次へ進めるのは部屋をつくった人です。
以心伝心は絵の上手さそのものを採点する形式ではありません。ただし比較やランキングが苦手な人もいるので、結果を性格や仕事の相性と結びつけないようにします。絵を描く操作が難しければ、4枚から選ぶイメージチョイスに切り替えられます。感想を話すのは希望者だけにしましょう。
以心伝心は登録不要で、言語は端末ごとに選べます。名前と回答は部屋のサーバーに一時保存され、最後の利用から6時間、作成から最長24時間で削除されます。仕事で使う場合は組織の外部サービス利用ルールも確認しましょう。詳しくは以心伝心の説明へ。
| 所要 | 必要なもの | 向く場面 |
|---|---|---|
| 5〜10分+入室と説明 | URL を 1 つ貼るだけ。スマホでも PC でも、インストールなし | チーム・クラスの最初の 5 分。新メンバー歓迎。研修の冒頭 |
部屋をつくって URL を会議のチャットに貼るだけ。3 人以上入ると自動で「みんなでシンクロ」。9 人以上はブレイクアウトで 3〜8 人ずつに。
9. Gartic Phone:「絵と文章の伝言ゲーム」
最初の人がお題を文章で書き、次の人がそれを絵にし、次の人がその絵を文章に戻す。最後に全員の変遷をアルバムで見て笑う。Gartic Phone は無料 (広告あり)、インストール不要、部屋の URL を貼るだけ。4〜10 人で 10 分ほど。描く時間が要るので、5 分枠よりは「研修の休憩明け」の 10 分に向きます。絵が崩れるほど盛り上がるので、絵心は不要です。
10. Kahoot!:「スマホで答える早押しクイズ」
出題者が Kahoot! でクイズをつくり (出題者だけアカウントが必要。無料プランあり、一部有料)、参加者はブラウザで PIN を入れて答えるだけ。研修やオンライン授業の冒頭に「前回の復習 3 問」、チームなら「うちの会社クイズ 5 問」。答えるだけなので発言が苦手な人も入れますが、順位が出るので、最初の 1 本よりは場が温まった 2 本目に向きます。 参加人数の上限は契約ごとに確認し、問題を参加者の端末へ表示する設定も先に試してください。
11. Codenames Online:「1 語のヒントで、味方の単語を当てる」
25 の単語が並び、2 チームに分かれて、ヒント役が「1 語 + 数字」のヒントで味方の単語を当てさせる。Codenames Online は無料、インストール不要、URL を貼るだけ。1 ゲーム 15 分前後なので、アイスブレイクというより「研修の最後の 15 分」や「月 1 のチーム時間」向き。ヒント役以外はチームで相談するだけなので、話すのが苦手な人は聞き役に回れます。4〜8 人。
C. 大人数は、ブレイクアウトルームで 3〜8 人ずつ (12)
小部屋を作れるかは会議サービスの契約・管理者設定で変わります。事前に確認し、使えない場合は全体チャットで一斉回答する形式に切り替えます。移動と再集合には2〜3分の余裕を取りましょう。
12. 小部屋で遊び、一言だけ持ち帰る
9 人を超えたら、Zoom・Teams・Google Meet のブレイクアウトルームで 3〜8 人に分けます。1 部屋の時間は 5 分。中でやるのは #3 共通点探し、#4 2 つの真実と 1 つの嘘、#8 以心伝心のどれか 1 つだけ。戻ってきたら各部屋の代表が全体チャットに一言報告します (「共通点 4 つ、全員ねこ派」)。報告をチャットにすれば、代表も声を出さずに済みます。
#8 を使う場合は、各部屋で 1 人が部屋をつくって URL をその部屋のチャットに貼る。部屋ごとに「いちばん以心伝心なペア」が決まるので、全体に戻ったとき「各部屋のベストペア」を発表すると締まります。30 人なら 5 部屋、合計 8 分。進行役は部屋を回らず、「残り 2 分」を全体に流すだけで十分です。少人数の部屋の中で使えるゲームは3〜8 人で遊べるゲームにもまとめています。
進行の台本 — そのまま読める 3 行
進行役がいちばん困るのは「何と言って始めるか」です。3 つの形式について、そのまま読める 3 行を置いておきます。カッコの中は進行役の動きです。
#1 一言チェックイン (1 分)
- 「始める前に 1 分だけ。今の調子を 1 から 10 の数字と一言で、チャットに書いてください。『7、ちょっと眠い』くらいで大丈夫です」
- (30 秒待つ)「ありがとうございます。10 の人がいますね。3 の人は今日は無理せずで」
- 「では本題に入ります」
#7 チャット一斉送信 (2 分)
- 「お題を出すので、チャットに答えを打ってください。ただし送信はまだ押さないで。『せーの』で全員同時に送ります。お題は『今朝食べたもの』」
- (20 秒待つ)「準備いいですか。せーの」
- 「一気に来ましたね。おにぎりが 3 人、食べていない人が 4 人。この 4 人のために休憩は長めにとりましょう」
#8 以心伝心「みんなでシンクロ」(5 分)
- 「チャットに URL を貼りました。スマホでも PC でもいいので開いて、名前を入れて入ってください。ダウンロードも登録もありません」
- (全員が入ったら)「同じお題が出るので、30 秒で描いてください。上手さは関係なく、似ているかどうかで点がつきます。ほかの人の絵は、回答中には公開されず、提出状況か締め切りに応じて結果が出ます」
- 「3 問で終わります。最後に『いちばん以心伝心なペア』が出るので、感想は希望する人だけ一言どうぞ」
やってはいけないアイスブレイク
- 個人情報に触れるもの: 年齢、家族構成、住んでいる場所、休日の過ごし方の深掘り。答えたくない人が「答えない」と言えない構造になります。
- 序列が見えるもの: 役職順の自己紹介、成果の自慢、「今期の目標を一言」。アイスブレイクの時間に評価を持ち込むと、残りの会議で誰も余計なことを言わなくなります。
- ルール説明が 1 分を超えるもの: 説明の途中で 1 人が「あとで読みます」と言った瞬間に終わります。
- カメラオンの強要: 「顔を見せて」はアイスブレイクではなく指示です。カメラオフでも成立する形式を選ぶ方が速い。
- 指名して待つ: 「じゃあ○○さん」のあとの沈黙は、本人がいちばんつらい。順番制にするなら、先に「次は△△さん」と予告して考える時間をつくる。
- 誰かが下になるお題: 「いちばん遅刻しそうな人は?」のような比較。対面では笑いになっても、画面越しでは本人の表情が見えず、進行役がフォローできません。
参加しやすくするために進行役ができること
初対面の場では、参加方法が分かり、答えたくないときに見送れることを優先します。短いゲームだけで安心して話せる関係が完成するわけではありません。進行役が無理に理由を聞かず、発言を評価に結びつけない姿勢を続けることが大切です。
似ているところを探す遊びは会話のきっかけになりますが、点数やペアランキングが気になる人もいます。結果を本人の性格や仕事上の相性と結びつけず、感想は希望者だけにしましょう。競争を避けたい集まりでは、点数のない共通点探しやチャット一斉送信を選べます。
もう少し長く遊ぶ場ならオンライン飲み会のゲーム、対面の歓迎会ならルール説明 30 秒以内のゲームへ。
よくある質問
カメラオフでも使えますか?
チャットで一言書く形式やブラウザへの回答なら、カメラなしで参加できます。持ち物も映さず名前だけ書く方法にできます。
声を出さずに参加できますか?
文字か画像を選ぶ形式を使い、発言は任意と伝えます。相談する遊びでは、チャットでも意見を出せるようにしましょう。
20人ならどう分けますか?
全体チャットで同時回答するか、3〜8人の小部屋を使います。以心伝心なら5人ずつ4部屋に分け、それぞれ別リンクと進行役を用意できます。
全部5分で終わりますか?
いいえ。短いチャット形式と、10〜30分ほど必要なゲームを分けて紹介しています。入室・説明・部屋への移動も予定に含めてください。
Zoom以外でも使えますか?
Webゲームは通話ツールとは別に開けます。ただし外部サイトへのアクセス、チャット、小部屋の機能は組織の設定や契約で変わるので先に確認してください。
時間が延びるときは?
最初に終了時刻を伝え、最後の一言を用意します。全員の答えを一つずつ読む必要はありません。余った感想は次の休憩時間などへ回せます。
