「同じお題を2人が描いて、どのくらい似ているか」を数値にするのは、見た目より難しい問題です。大きさが違えば似ていないのか。場所がずれていたら。片方が一筆で、片方が3画で描いたら。以心伝心の採点エンジンは、この問いに「似ているとは5つの意味がある」と答えて、それぞれを別々に採点します。
この記事では、5項目がそれぞれ何を見ているのか、なぜそう設計したのか、そしてその設計を知った上での高得点のコツを開発者が説明します。細かな計算式や重み付けは公開していませんが、「どういう絵が、どの項目で点を取るか」は全部わかるように書きました。
設計の出発点:「上手さ」ではなく「重なり」
お手本と比べる採点なら、上手い人が勝ちます。それでは相性ゲームになりません。以心伝心はお手本を持ちません。比べるのは常に「プレイヤー1の絵」と「プレイヤー2の絵」だけ。だから2人とも下手なら高得点になり、片方だけ上手いと下がります。このゲームで「絵の練習」が無意味なのは仕様です。
もう1つの原則は、「何が違ったか」を説明できること。ただ「78点」と出すのではなく、「形はほぼ同じだったのに、大きさがぜんぜん違った」と言えるように、5つの観点に分けています。結果画面の5本のバーは、そのまま採点の内訳です。
5項目がそれぞれ見ているもの
形(45点)— 大きさと位置をそろえた上で、線が重なっているか
まず2人の絵を同じ大きさ・同じ位置にそろえてから、線の重なり具合を見ます。つまり大きく描いた人と小さく描いた人でも、形が同じなら形の点は同じ。さらに、お題ごとの「らしさ」も比べます。丸なら真円に近いか・閉じているか・時計回りか反時計回りか。星なら角の数。ハートなら左右対称か。家や花のような複合図形なら画数と対称性。「なんとなく丸い」と「ちゃんと丸い」は区別されます。
配置・大きさ(15点)— キャンバスのどこに、どのくらいの大きさで描いたか
形とは切り離して採点する項目です。同じハートを片方は画面いっぱいに、片方は隅に小さく描いたら、形は満点近く、ここで減点されます。「空間の使い方の癖」が出る項目で、同棲の長いカップルほどそろいやすい。
向き(10点)— 絵全体の傾き
絵全体がどちらに傾いているかを比べます。魚を右向きに描くか左向きに描くか、傘の柄をどちらに倒すか。ただし丸のように向きが意味を持たない絵では、この項目で理不尽に減点されないよう別の見方に切り替えます。
描き方(15点)— 画数・書き出し・最初の方向・描き順
完成した絵ではなく製造工程を比べる項目。何画で描いたか、どこから描き始めたか、最初にどちらへ線を引いたか、そして描き順。同じ家を描いても、屋根から描くか壁から描くかで差が出ます。本人はまったく意識していないのに一致する、あるいは一致しない——手書きシンクロで一番“テレパシー感”が出るのはここです。
リズム(15点)— 速さではなく「時間の使い方の近さ」
誤解されやすいのですが、速く描くほど高得点になる方式ではありません。比べるのは、描画にかかった時間が近いか、「最初に一気に描いて最後に細部」のような進め方の配分が似ているか、途中で止まっていた時間の割合が近いか。ゆっくり描く2人はゆっくり同士で満点になります。
同じ落書きが100点にならない理由
2人が同じ「意味不明な短い線」を描けば、上の全項目が一致して100点になりそうです。それを防ぐために、お題として成立しているかのチェックが入っています。点が少なすぎる、絵が小さすぎる、丸なのに閉じていない、星なのに角が足りない、複合図形なのに一筆の短い線——こうした場合は形の点数が抑えられます。結果として「お題として成立していない絵どうし」は高得点になりません。
片方が白紙のときは、そのラウンドは比較不能として扱われ、最終結果でも「比較できる線がない」と正直に表示します。0点の“低スコア”とは区別され、診断も「白紙の共犯者型」のような専用タイプになります。
同じ入力から必ず同じ結果を出す
採点はすべて端末内で行い、外部AIもサーバーも使いません。同じ絵を入れれば必ず同じ点が出る決定論的な設計で、2台モードでは片方が採点した結果をもう片方へ送り、両端末が同じ結果・同じ診断を表示します。絵が端末の外へ出ないことは、このゲームの前提です。
採点から診断へ
5ラウンドの内訳から、総合平均・5項目のバランス・最も高い/低い項目・ラウンド間のばらつき・後半の伸び・描画時間の近さなどのプロファイルを作り、69種類の診断タイプから1つを選びます。だから同じ総合点でも、内訳が違えば診断が変わります。「形は高いのにリズムが低い」なら「同じ完成図を思い浮かべたのに描く速さが違う」タイプ、後半で伸びれば「後半主人公型」、といった具合です。各タイプの概要は診断タイプ図鑑で。
高得点を狙うコツ
- お題を見た瞬間に描く。考えると“自分らしくない”絵になり、相手の直感とずれます
- 大きさと位置をそろえる。「真ん中に、画面の6割くらい」を2人の暗黙のルールにすると配置の点が安定します
- 画数と順番は“自然に”。事前に打ち合わせると面白くありませんが、家なら「四角→三角→ドア」のような自然な順で描くと一致しやすい
- 速さを合わせる。片方が5秒、片方が25秒だとリズムが崩れます。「だいたい10秒」を共有するだけで違います
- お題として成立させる。丸は閉じる、星は角を作る。成立していない絵は形の点が伸びません
手書きシンクロ5ラウンド。5項目の内訳と診断を確かめてください。
限界と、あえてやっていないこと
- 上手さは測りません。お手本との比較ではなく2人の比較なので、下手同士は高得点になります。それが仕様です
- 意味の理解はしません。「家」を描いたつもりでも、エンジンは線の幾何しか見ません。だから「お題として成立しているか」のチェックが必要になります
- 画像認識AIを使いません。決定論性と端末内完結を優先しました
- 色・筆圧は見ません。端末やブラウザで条件が揃わないため、座標と時刻だけを使います
よくある質問
速く描いた方が有利ですか?
いいえ。リズムは「速さ」ではなく「2人の時間の使い方の近さ」を採点します。ゆっくり同士でも満点です。
上手い人と下手な人だと低くなりますか?
上手さは見ていません。線の重なり・配置・向き・描き順・時間配分が似ているかだけです。
iOS版とWeb版で点数は同じですか?
同じ仕組みを移植していますが、タッチイベントの頻度などで数点の差が出ることはあります。
白紙で出すとどうなりますか?
そのラウンドは比較不能として扱われ、最終結果に「比較できる線がない」と表示されます。
採点の計算式は公開していますか?
細かな計算式と重み付けは公開していません。この記事の範囲(5項目が何を見ているか)が公開情報のすべてです。
